先生と警察官は2人に背中を向けていてこちらに気が付かない。


2人は鍵の開いている玄関から中に入り、あの窓のある部屋を目指した。


大きな古民家で廊下が広く、危うく迷子になってしまうところだった。


それでもどうにか庭に面した部屋に出ると、そこは先生の書斎になっていることがわかった。


四方に本棚があって難しそうな本が所狭しと置かれている。


しかし猫の鳴き声はどこからも聞こえてこない。


早くしないと先生が戻ってきてしまう!


「クニヒコ、メガネで確認するんだ!」


クニヒコは汗でぬめる手でどうにかメガネをかけた。


途端にめまいを感じて目を閉じる。


そして次の目を開いた時、目の前にダンボールを持った先生が立っていた大きな悲鳴をあげた。


「クニヒコ大丈夫か? なにが見えた?」


「だ、大丈夫。ちょっとびっくりしただけだから」


心臓はバクバクと早鐘を売っている。


尻もちをついてしまいそうになるのをどうにかこらえて、先生の後に続いた。


先生が本棚の一つを手で押すと、それは磁石式の扉のように内側へと開いたのだ。


「隠し扉だ!」


テレビやアトラクションでしか見たことのない隠し扉にクニヒコは目を丸くする。


こんな家が本当にあるなんて、考えたこともなかった。