闇夜ヨルの恐怖記録2

☆☆☆

「昨日より衰弱してる」


アパートの押入れの中を確認して、メガネをかけているクニヒコは言った。


「そうか……」


「このままじゃ死んじゃうよ!」


それでも歴史を変えることはできない。


今自分たちがしていることは猫を助けることじゃなくて、未だ掴まていない犯人を特定することだった。


クニヒコは唇を引き結んで押入れの襖を閉じた。


猫たちの小さな声はすぐに聞こえてこなくなる。


そのくらい衰弱してしまっているのだ。


「まだ探していない場所があるんじゃないか?」


タカシに言われてクニヒコは左右に首を振った。


もう、このアパートの中は調べ尽くしたのだ。


少ない家具をすべてひっくり返すようにして調べて、それでも犯人も個人情報はどこにも見つからなかった。


これだけ気をつけている犯人がヘマをするとは思えない。