マサシはうつむいて授業を聞いていた。


先生の話をどれだけちゃんと聞いていても、マサシには理解できない。


だからなるべく目立たないように座って当てられないように気を付けているのだ。


しかし、マサシは勉強ができると思い込んでいる先生は何度もマサシを指名した。


「次の問題をお願いね」


そう言われて黒板の前に立つものの、少しもチョークをすすめることができない。


やがて小刻みに震えだしたマサシは「わかりません」と消え入りそうな声で言って自分の席へ戻っていく。


代わりに答えるのはチナだった。


チナは自信満々に手をあげてスラスラと回答する。


そしてクラスのみんなから歓声を浴びるのだ。


5時間目のクラス会ではまたマサシがまとめ役に選ばれた。


けれど教卓の前に立ったマサシはもごもごと口の中でなにかを呟くだけで、みんなをまとめるようなことはできなかった。


代わりにリーダーシップを取るのはノリコの役目になった。


ノリコは全員の意見を綺麗にまとめて、そして自分でも輪の中に入って頑張った。