「あぁ。俺がマサシだ。で、こっちがヒデアキ」


ヒデアキはずっとうつむいたまま顔をあげない。


相当ショックだったのかブツブツと小さな声でなにかを呟いただけで、教室を出ていってしまった。


「プレイヤーが1人いなくなったから、ゲームも中断だな」


「ちょっと待ってよ! まだ才能を取り返してないのに!」


ボードゲームを片付けようとするマサシの手をノリコが止める。


マサシはノリコにグッと顔を寄せてみた。


するとノリコは一瞬にして顔を赤らめ、手を引っ込めた。


顔がいいとここまで相手の行動を操ることができるのだと、初めて知った。


「今日はおしまい。また明日な」


マサシは優しくそう言って、ボードを片付けはじめたのだった。