高校の入学式に、奏橙くんがいて驚いた。
どうしてここにいるの?紫花は?


別々の高校に行けば、忘れられると思ったのに。
これじゃあいつまで経っても諦められない。


「……桃花ちゃ、ん。また、よろしくね」


運悪く1年生の時はクラスが一緒だった。
"櫻"と"椎名"だから席も前後になってしまった。


紫花はどうしてるの?どうしてここにいるの?
聞きたいことは山ほどある。けど、何も聞けなかった。


「紫花ちゃんには、言ってないんだ。
僕がここを受験したことも、桃花ちゃんがここにいることも」


久しぶりにまともに会話したと思ったら、そう言われた。
言ってない…んだ。


わたしは、奏橙くんと紫花がキスしてたあの日以来お見舞いには1度も行っていない。
入院したり、退院をしたりの繰り返しで両親ともまともに顔を合わせていない。