そんな時。
一服を終えた篤が、店の中に戻って来た。
「成瀬さん。
なんかこの店の前、ヤクザみたいなんが囲んでますけど。
なんすか?あれ?」
それに答えたのは、成瀬ではなく二葉さんで。
「ああ。悪い。うちの組の奴らだ。
俺が他の組の奴から狙われねぇように、見張られてる」
「あ、二葉さん。お久しぶりです」
篤も、この二葉さんの事を知っているみたい。
「篤、お前、今何してんだ?
何もしてないならうちの組来ないか?」
「すみません。俺、今大学受験してて。
俺の母親、ずっと未婚の母だったけど、俺の父親ってのが急に現れて。
だから、その父親の籍に入って、それで、大学出ないといけなくて」
「は?なんだそれ?」
二葉さんは、首を傾げていて。
確かに、なんだそれ、って思うだろうな。
本当に、こんな感じで篤は大学に合格するのだろうか?
「せっかくだし、成瀬、お前嫁とキスしろ」
そう言い出したのは、二葉さんで。
「えー、マジですか?」
そう言いながらも、成瀬は私を引き寄せるように肩に腕を回して来る。
チュ、っと私の頬に成瀬の唇が触れた。
「は?口にしろよ。
しらけんだろ」
そう、二葉さんはふてくされていて。
「まあ、許してくださいよ」
成瀬がそう笑うと、二葉さんも固い表情を崩して笑っていた。



