久志と結婚して、5年が過ぎ。


二人の子宝にも恵まれた。


上の子は女の子で四歳になり、親馬鹿ではなく、本当に子役にでもなれるんじゃないかって程の整った容姿で。


父親である、久志にソックリ。


「今日、美麗(みれい)同じ保育園の龍斗(りゅうと)君とちょっと喧嘩したみたいで」


今日の久志は2勤で、帰宅してから遅い夕食を摂っていて、
今、ダイニングテーブルに座っている。


私も産まれたばかりの下の子を抱きながら、
久志の前に座る。


「龍斗?
ああ、いつも美麗にちょっかいかけて来るやつでしょ?
で、それで?」


娘の美麗はまだ四歳なのに、
すでに近くに居る男の子に不機嫌なこの人。


久志がそうやって不機嫌になるのは、
その龍斗君はよくうちの美麗に意地悪していて。


多分、小さな男の子の、好きな女の子をいじめるってやつっぽくて。



「けど、今日は美麗が悪いみたいで…」


保育園の先生の話を聞くと、そんな感じ。


「美麗が何したの?」


「したっていうか、言ったみたいで。
『なんで龍斗君は、不細工なの?うちのパパの顔と全然違う』って」


私がそう言うと、目の前のこの人はクスクスと笑っていて。


この人も、それに瓜二つの美麗も、
本当に整った美しい顔で。


そのせいなのか、親子揃って性格にちょっと難がある。