「わぁ……すごく大きな学園」


目の前にそびえたつ建物と敷地の広さに、思わず何回もまばたきをして、口がポカーンと開いてしまう。


わたし忽那真白は高校1年生。

明日から、この紅花学園に通う生徒でもある。


ここは、お金持ちしか通えないといわれる名門校であり、かなり特殊な学園でもあるんだとか。


そもそも、どうしてわたしがこの学園に入学を決めたのかというと……。


わたしの家は、あまり裕福とはいえない。


小さい頃にお父さんを病気で亡なくしてから、お母さんとふたりで暮らす生活が何年も続いた。


お母さんにはたくさん苦労をかけたから、少しでもラクをさせてあげたいって、ずっと思っていた。


中学校は地元では結構有名な女子校に通わせてもらったけれど、学費がかなり高くて。


中高一貫校だったので、エスカレーターで高校進学が決まっていたけれど。


これ以上、お母さんに迷惑をかけるわけにはいかないと思って、少しでも学費が安いところ……もしくは学費が免除されるような高校を探していた。