矢野はそう言うとタバコに火を付け、そのまま加えだした。
タバコの香りが、わたしの鼻を掠めた。
「あの、奥野さんが彼女を守ろうとしたって、どういうことですか?」
わたしはタバコの煙を吐き出す矢野に、そう問いかけた。
「なんだ、知らねぇの? アイツ、あの女に脅されてたんだよ」
「脅されていた……?」
奥野が、伊藤綾香に?どういうこと……?
「ああ。……あの女、陵に彼女と別れてくれないと、彼女を痛い目に遭わせるって脅してたんだよ」
「それ、本当ですか?」
と問いかけると、矢野は「間違いないぜ。陵が言ってたし」と言った後、タバコの火を消した。
「そうですか……」
「刑事さん。陵を殺した犯人、早く見つけてくれよ」
「……はい」
わたしは「ありがとうございました」と矢野に伝えると、その場を後にした。
「もしもし、門野さん?」
「おう。どうした?」
私はさっきのメモを開きながら、「あの、伊藤綾香のことで気になる証言が取れました」と伝える。
「なに? それは本当か?」
「はい。伊藤綾香なんですが……どうやら被害者を脅していたみたいです」
「脅していた?」
「はい」



