「警察?……まさか、陵のことか?」
「はい。奥野さんのことで、ちょっと聞きたいことがありまして」
わたしがそう告げると、矢野は「で、陵のことで聞きたいことって何?」と近くにあったベンチに座り込んでそう聞いてきた。
「あの、奥野陵さんにはどうやら不倫相手がいたようなのですが……。その相手が誰だかご存知ないですか? 伊藤綾香さん、という方なんですけど」
「伊藤?……あ、アイツかな」
その表情を見てわたしは「え、伊藤綾香さんのことをご存知なんですか?」と矢野に問いかけた。
「ご存知っていうか……。あの女、しつこく結婚迫ってたからな、陵に」
そう言われたわたしは「え、どういうことですか?」と問いかけた。
「その伊藤って女、陵にしつこく付き纏ってたんだよ。早く結婚してくれって迫ってて、陵はちょっと迷惑そうな顔をしてたな……。時々職場にも現れてたみたいだしな」
「え、職場にも……ですか?」
「ああ。それで陵、大分参ってたよ。……それでアイツ、和美ちゃんと別れるって言い始めたんだよ。 伊藤って女に結婚迫られて困ってるから、和美ちゃんを守ろうしたんだ」



