小野田課長の言葉には、重みが詰まっているような気がした。

「亡くなった遺族の悲しみは、到底計り知れない。……俺達でも、それはどうすることも出来ないんだよ」

 小野田課長はそう言うと、そのままテレビを消して出て行ってしまった。

「……亡くなった遺族の、悲しみ」

 遺族の悲しみなんて、計り知れない。……それはそうだ。
 警察官に出来ることなんて、たかが知れている。心の悲しみや苦しみを癒やすなんて、わたしたちには出来ないんだ。
 自分たちで立ち上がって、自分たちで起き上がって、それでも尚生きていかなければならないのが現実だ。 悲しみと向き合って、それでも苦しくなって、辛くて泣きたくなって……。
 それが遺族にとってどれだけ辛いものなのか、それは経験した人にしか分からない。

「笹野、大丈夫か?」

 そんなわたしの表情を見て、門野さんはわたしに問いかけてきた。

「……すみません。大丈夫です」

「辛いなら、無理するな」

 その一言で、わたしは救われた気がした。……今でも思い出す、あの事件のこと。
 それはわたしがまだ、7歳の頃ーーー