日向のその言葉に、わたしは思わずグラスを持ったまま俯いた。
「……例え精神疾患があったとしても、そんなのは言い訳だよ。言い訳なんて、きっと許されない」
もし精神疾患が仮にあったとしても、三井には人を殺害したという事実がある。本人だって自白したんだ。……そんなのが裁判で通るとは、到底思えない。
「そうだな。……事実は事実、だからな」
「何人もの人の命を奪った犯人だからこそ、ちゃんと罪を償うのが被害者たちに対する贖罪でしょ?……そんなの、遺族が聞いたら悲しむに決まってる」
被害者たちには、何の罪もなかった。なのにあんなことをして……。まるで罪の意識がないとしか思えない。
例え精神疾患があったとしても、人を殺めたことに変わりはない。その事実は、消すことなんて出来ない。
「3日後の裁判で、ヤツの判決が下される。……どうなるんだろうな」
日向のその表情からは、わたしは何も読み取れなかった。
「……もう、寝ようか」
「そうだな」
そして3日後に行われる最高裁判所での裁判。その最高裁判所の周りには、多数のメディアやジャーナリストたちが集まっていた。



