その瞬間に、門野さんの声と日向の声がほぼ同時に聞こえてきた。
「おい女。俺に次そうやって説教したら、今度こそお前を撃つ。 いいな?」
「どうして……。どうしてそこまで」
わたしには分からない。なんでそこまでして……。
「俺は警察を絶対に許さない。……俺は悪くない。悪いのはアイツだ!」
そう叫ぶ坂巻くんに、わたしは「……あなたはあの時、確かに少年法で守られていた。でも今はもう違う。 もし今ここでわたしを撃ったら、あなたは殺害容疑で現行犯逮捕されるわよ」と言った。
「………」
「それでもいいの?そしたらあなたは、またやり直せるチャンスを、自分で潰すことになるのよ?……そしたらあなたは、完全に犯罪者になるのよ。警察官を撃ち殺した犯人として、名前も顔も、年齢も。全てニュースに載るのよ? それでもいいの?」
なんとかして彼を助けたかった。なんとかして、彼を止めたかった。
「うるせぇ……。俺の人生だ! 余計な口出しするなっ!」
そう言うと坂巻くんは、わたしに向けたままの拳銃の引き金に、ついに手をかけた。
「笹野……!!」
「つぼみ……!!」