日向が自販機の前で缶コーヒーを飲んでいた。

「お疲れ」

「お、お疲れ様」

 こうして日向と会うと、なぜか妙に緊張してしまう。

「お前、今日非番なのに、空き巣犯捕まえたんだって?」

 日向からそう聞かれて、わたしは「う、うん」と返事をした。

「おかげで俺の仕事一個増えたから」

「ご、ごめん」

 そう謝った後に「笹野、なんか飲むか?奢ってやるよ、犯人捕まえたご褒美に」と日向に言われたわたし。
 日向のその一言にビックリして、わたしは思わず「………。え?」と聞き返してしまった。

「なんだよ」

「いや……。日向って、そんなキャラだったけ?」

 まさか日向から、そんなことを言われると思ってなかったわたしは、目を見開いてしまった。

「はぁ?そんなキャラって、なんだよ」

「いや、だって……」

 警察学校時代は、わたしが日向に色々と奢ってあげていたことを思い出した。

「で、何飲むんだよ?奢ってやるなら、今だぞ」

「え? 急に言われても……」

「ほら、早く選べよ笹野」

 自販機を少し眺めたわたしは「……じゃあ、ココアにする」と伝えた。