「だろ?ここの餃子、マジで美味いんだよ」

「美味しいです、本当に」

 あまりにも美味しくて、お箸が止まらなくなった。

「美味そうに食べるな、笹野は」

「そうですか?」

「でもそういう笹野のことが、俺は好きなんだけどな?」

 その言葉を聞いた瞬間に、わたしは思いっきり噎せてしまった。

「ゲホッゲホッ……!」

「おい。大丈夫か? ほら、水」

 手渡された水をわたしはそのまま飲み干した。

「はぁっ……。死ぬかと思ったっ」

「大袈裟だな、笹野は」

 なんて笑いながら、門野さんは言っていた。

「だって……。か、門野さんが変なこと言うから……」

 だって門野さんが、好きとか、言うから……。

「言っただろ?お前のこと、好きだって」

「……それは、その……」

 わたしは、何にも言えなくなった。

「ご、ごちそうさま、でした……!」

 わたしはこの空気に気まずくなって、カバンを持ってお店を飛び出した。
 
「待てよ、笹野……!」

 そしてわたしのその後を、門野さんはすぐに追いかけてきた。
 そしてわたしの腕を左腕を掴んで、引き寄せた。