逃走する犯人の腕を捕まえて、地面に押し付けるようにして確保した。

「11時27分。住居侵入罪と器物損壊の罪で現行犯逮捕します」

 そしてわたしはその両腕に、手錠を掛けた。

「クッソッ……!離せよっ!」

 ジタバタするその犯人に、わたしは「あなた、公務執行妨害も追加されたいの?」と問い正した。

「……チッ」

 舌打ちしたその犯人だけど、抵抗をやめたため、大人しく署まで連行した。

「おう、笹野!ご苦労だったな」
 
「小野田課長、お疲れ様です」

 捜査一課に配属されてから早半年が経過した。

「事情聴取は門野たちがやるから、後はいいぞ」

「はい」

 たまたま非番の日に、買い物に出ていた時に空き巣に入っていた男を見つけ、逃げる犯人を追いかけたわたしは、すぐさま現行犯逮捕した。
 課長に話した所、捜査一課に連れてこいとのことだったので、連れてきた。

「済まないな。非番だったのに」

「いえ。……ではわたしは、これで失礼します」

 軽く挨拶を済ませたわたしは、そのまま捜査一課を出た。そしたら……。  

「笹野じゃん」

「え? あ、日向……」