「突然、すみません。わたし警視庁捜査一課、強行犯係の笹野と申します。新城(あらしろ)悟(さとる)さんですよね?……署までご同行、願えますか?」

 そう言ってわたしは、警察手帳を見せた。

「……っ!」

 そして今、一つの暴行事件がついに幕を下ろそうとしていた。

「っ! 待ちなさいっ……!」

 逃げた犯人を追いかける。

「新城さん!逃げても無駄ですよ!」

「うるせぇ!こっちくんな!」

 新城悟という犯人。この人は二日前、酔った勢いでぶつかってきた通行人を殴り、全体ニヶ月の怪我を負わせていた。
 目撃者の証言と、被害者の証言から、身元が判明。犯人が割り出された。

「日向……! そっち行った!」

「了解!」

 わたしは日向がいる方向に声をかけると、日向は勢い良く犯人の服の首元掴み、そのまま背負い投げして地面に叩きつけたのだった。

「ゔっ……!」

「はい。15時45分、傷害罪で逮捕! 笹野、手錠!」

 日向に手錠を差し出すと、日向は「違う。お前がかけるんだよ」と言ってきた。

「……うん。わかった」

 わたしは犯人に、ゆっくりと手錠をかけた。