「……はい」

「車で運んでやる。動くなよ」

 そう言った門野さんが、わたしをお姫様だっこで抱き上げる。

「ええっ!? か、門野さん……!?」

 こ、これはお姫様だっこ……!? いやぁ……! 恥ずかしくて死にそうになるんだけど……!

「動くな!落ちたらどうする」

「あ……。す、すみません」

 門野さんは軽々とわたしを持ち上げ、そのまま歩き出した。
 わたしはそんな門野さんの首に掴まることしかできず、ただ恥ずかしさしか考えられなかった。

「ほら、病院行くぞ。俺が付き添ってやるから」

「はい……。ご迷惑おかけして、すみません」

 わたしはすごく反省した。まさかこんなことになるなんて……。想像もしてなかったから。
 だけどその様子を見ていた日向が、なぜか悔しそうな顔をしていることに、バカなわたしは気づいてもなかった……。



✱ ✱ ✱ ✱



「お大事に」

「ありがとうございました」

 その後検査のため一日入院中したわたしは、特に何事もなく退院することが出来た。
 とりあえず大事に至らなかったことが、何よりも安心感がある。本当に良かった……。