「なにこれ、美味しいっ」

 その焼きそばパンを食べたら、思わず笑顔になるくらい美味しかった。
 そんなわたしを見て、門野さんは「美味そうに食うな、笹野は」と言って笑っていた。

「え、そ、そうですか?」

「ああ。その豪快な食い方、まるで男みたいだな」

「ええっ……! ひどいです!」

 わたしはこう見えても、女なのに……!

「まぁって言っても、女はお前一人だしな。男に混ざればそのうち、男になるかもな」

「な、なりませんっ! わたしは捜一の華、ですから!」

「捜一の華? 本当か?」

「本当です!」

 そんな門野さんと楽しそうに話すそばで、遠くから日向がわたしたちを見ていたことに、この時わたしは気付いてなかった。
 


✱ ✱ ✱ ✱



「よし、捜査会議始めるぞ!」

 午後になって、捜査一課が集まっての捜査会議が始まった。 捜査会議ではその捜査の進捗状況などをみんなで共有し合う。
 その捜査会議でわたしの隣に座っていた日向は、何故かわたしの方ばかりを見ている気がした。

「……え、何よ?」

「いや?別に」

 日向に見られると、集中出来ないんですけど……。