「日向、そっちはどう?」

「いや、見つからない。どこかに隠れてると思うけど」

「了解。慎重に探そう」

 路地裏には飲食店やスナックなどが並んでいるため、なかなか見つけにくい。
 どこかに潜んでいる可能性も充分にある。

「こちら門野。主犯格はナイフを所持している可能性がある。気を付けろ」

「上林、了解」

「笹野、了解」

 慎重に探していくが、どこにも人影は見当たらない。

「誰かいるの?」

 と問いかけたが、反応はない。

「警察です。いるなら返事しなさい」

 ともう一度問いかけてみる。

「いるなら返事しなさい! もう逃げられないわよ!」

 そしてその時……。

「うわぁぁあ……!!」 

 と、ナイフを振りかざす男がわたしの前に現れたのだった。 

「っ……!」

 わたしはナイフを避け、後ずさりした。そしてすぐに無線で「こちら笹野。主犯格の男を発見しました。ナイフを所持しています」と連絡した。

「上林、了解。すぐ行きます」

 無線が切られた後、わたしは「小宮山大輝ね!もう逃さないわよ。観念しなさい」と相手に伝えた。

「受け子の二人はすでに捕まったわよ」