「葉山、大人しく降参しなさい」

 まずはその拳銃を手から離して奪い返すと、足で門野さんたちの方に蹴り飛ばした。
 それは、門野さんがわたしに目で合図してくれたから、気付けたことでもあった。あのアイコンタクトがなかったら、きっと気付けなかっただろう……。

「クッソッ……。離せ!!」

 わたしが掴んだ腕を抑えた状態のままでいると、門野さんと高野さんが葉山の元に走ってきた。
 そして葉山のその腕に、高野さんが手錠をかけた。

「笹野、大丈夫か?」

 と門野さんが言ってくれた。

「はい。わたしは大丈夫です」

「そうか。よかった」

「葉山健。14時ジャスト……。殺人容疑及び銃刀法違反、器物損壊。その他諸々の容疑で現行犯逮捕する!」

 手錠をかけた状態の葉山を、高野さんと門野さんが警察車両まで連行していく。

「つぼみ!大丈夫か?」

 そしてその後すぐに、日向が駆け寄ってきてくれた。

「うん。わたしは大丈夫だよ」

「よかった……。危なかったな」

「来てくれてありがとう。おかげで葉山を捕まれられた」

 もう少し遅かったらわたし、どうなってたんだろう……と思う。