「……っ!」

 そして葉山は、わたしに向けたその拳銃の引き金に手をかけた。

「次変なこと言ったら、本当にコイツを撃つからな!」

「……はぁ」

 呼吸が乱れるのが分かる。……わたしは警察なんて仕事、とことん向いてない。
 誰の役にも立たてない。今だって、何もすることが出来ない。

「おい、女。妙な動きしたら、撃つからな」

「……分かったわ」

 今はとにかく、コイツの言うことを聞くしかない。……じゃないとまた、何をするか分からない。
 そんな状況が、どのくらい続いたのだろうか……。緊迫した空気に包まれたその現場の空気が一変した。

「……え」

「おい、なんだよ!何なんだよ!」

 そこに現れたのはーーー
 
「葉山!銃を捨て人質を開放しろ!」

 【日向】だった。日向は応援を連れてきたようだった。
 なんで日向が……?どうして……。

「葉山、お前はもう終わりだ。逃げられない。……降参するんだ」

 高野さんがそう言うと、葉山は「クッソッ……!」と舌打ちを漏らした。
 そして拳銃を離した隙に、わたしは一瞬の隙を見て葉山の腕を掴んだ。

「いってっ……!」