【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉



 わたしもそれ以上口にするのが苦しくなって、口を開けなかった。だけどその代わりに口を開いたのは、高野さんであった。

「あの、お母さん」

「はい……?」

「ここ最近、何か息子さんに変わったことなどはなかったですか?」

 高野さんはクールな表情で淡々と、母親に向かって言葉を並べた。

「変わったこと……ですか」

「はい。どんな小さなことでもいいんです。 何か思い当たるようなことは、ありませんか?」

 高野さんの言葉に母親は、少し考え込みながら黙っていた。
 そして数分後、母親は何かを思い出したように「そういえば……」と口を開いた。

「何かあるんですか?心当たりが?」

 すかさず問いかける高野さんに、母親は「事件と関係あるかは分かりませんが……。息子は以前から、誰かと電話でよく話していました」と答えた。

「誰かと電話を? 相手は誰なのか、知ってますか?」

「いえ……。その相手が誰なのかは、わたしも知りません。ただ……」

「ただ……?」

 母親は何か言いにくそうな表情をしていた。

「……息子は、いつもその相手に向かっていつも、すみませんと謝っていました」