【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉



 被害者はこんなにも笑う人なんだと、写真を見て気付かされる。
 被害者は一体、どんな人だったのだろうか……。

「……お待たせ致しました。どうぞ」

「すみません。ありがとうございます」

「お構いなく」

 目の前に温かい茶の入った湯呑みを置いた母親の満子(みつこ)さんは、わたしたちの前に座り、一呼吸をおいてから「あの、お話って……息子のことについて、ですよね」と聞いてきた。

「はい。……息子さんが昨夜、事件に巻き込まれたのはご存知ですよね?」

 わたしがそう問いかけると、母親は「ええ……。警察から電話があって、それで知りました。今でもまだ、信じられません……」と口を閉じてしまった。

「……息子さんの意識は、まだ戻っていません。今夜が山場になるかもしれないと、医者は言っているそうです」

「……そうですか」 

 こんなことを家族に伝えなければならないなんて……。残酷すぎるとも感じる。
 だけどわたしたちは、警察として、きちんと話を聞かなければならない。……辛い思いをさせてしまうことに変わりはないけど、ちょっとだけ胸が痛む。
 こんなことになって一番辛いのは、家族だ。