「皆さん、本日付けで捜査一課に配属になりました。笹野つぼみと申します。よろしくお願いします」

「よろしくな、笹野。 課長の小野田だ」

「よろしくお願いします」

 


 2021年、まだ暑さの少し残る九月の始め。わたしは三年の交番勤務を経て、念願だった警視庁捜査一課に配属された。
 捜査一課はわたしの夢だった。交番勤務からついに捜査一課(通称 捜一)に配属されることになった時には、あまりにも嬉しくて泣きそうになったくらいだ。
 そして念願の捜査一課に配属された日に、わたしは捜査一課の皆さんに挨拶した。




「ようやく捜査一課にも女性がやって来たんですね!」

「やっぱり女性がいるだけで華々しくなりますね!」

「本当だな!」 

 なんて、周りの人の声が盛大に聞こえてきた。

「おい、うるさいぞお前ら!静かにしろ!」

 小野田課長が一気に、みんなを静かにさせる。

「すごっ……」

 みんな本当に静かになった……。

「てことでみんな、今日から捜一に配属された笹野つぼみさんだ。仲良くしてやれよ!」

 と言うと、みんな一斉に「はい!」と返事をした。