■ 第3章 幼女ですが、凄腕薬師になります!

■ 第1話

 イラリオさんと暮らし始めて、一月ほど過ぎた。

「レオ、起きてー!」

 うららかな休日。朝日がすっかり上りきった時間になっても布団から出てこないイラリオさんを起こそうと、私は大きな声で呼びかける。

「うーん。今日、休みだろ?」

 私の声で目を覚ましたイラリオさんが、寝返りを打って気だるげに髪を掻き上げる。

「休みだから起きるの! 今日は朝から一緒にシーツのお洗濯をするって約束したでしょ!」
「…………」

 肩までしかかかっていなかった毛布がズズズッと引き上がり、イラリオさんの黒い髪の毛がすっぽりと隠れる。そして、部屋の中がシーンと静まりかえった。

 むむむっ、これは聞こえない振りをする気だな?
 あくまでも、二度寝しちゃう気だな!?

「レオ、起きてー!」

 さっきよりもっと大きな声で、耳元で叫んでやった。