「どれも捨てがたいな。よし、全部買おう」

用意された全てを着終えたところで、イラリオさんがお買い上げの声を上げる。

「毎度ありー!」

 女性は元気よく返事をした。

「えっ、全部?」

 びっくりしてしまった。
 これを全部?
 途中から数えるの止めちゃったから正確な数はわからないけれど、十着くらいあった気がするよ?

「いいから」

 イラリオさんに頭をぐしゃりと撫でられる。

「毎日同じ服を着るわけにもいかないだろう?」
「うん」

 おずおずと頷くと、イラリオさんは満足げに笑う。