アメイリの森を管理するのには人手が必要ということだろうか?
 わからないけれど、きっと何か関係があるのだろう。

「よし。馬はここに置いて、歩いて行こう」

 イラリオさんは、聖騎士団の厩舎の前で馬を止めた。
 身軽な動きでまず自分が馬から降りると、今度は私の両脇に手を差し込む。そして、馬に乗るときと同じように、私の体を軽々と持ち上げて地面に下ろしてくれた。

「エリー、行くぞ」

 私が見慣れない景色にきょろきょろとしている間に、イラリオさんは馬を厩舎の中に繋いできていた。

「どこに行くんですか?」
「んー、色々行かないと行けない場所があるんだ。あとは、エリーが生活に必要な服や小物を買うのももちろんなんだが、日中どうするかも決めないとだな……」
「日中?」

 私はこてんと首を傾げる。日中は、家で家事をして過ごすつもりだったけど?
 それを聞いたイラリオさんは首を横に振る。

「だめだ。俺が仕事の間、エリーみたいな小さな子供をひとりぼっちで待たせるわけにはいかないだろう?」

 いや、小さくないの。見た目は小さいけど、本当は小さくないの。
 そう言いたい気持ちをぐっと抑える。

 子供になった私を親戚でもないのに引き取ったことから想像はついていたけれど、イラリオさんはかなり責任感の強い人らしい。