絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!

「よし、準備は終わったな。エリー、出発するぞ」
「はーい」

 元気よく手を上げると、イラリオさんはやけに嬉しそうだ。そのとき、足下にふわふわで柔らかいものが触れる。

「あ、レオ。この子も連れて行きたいの。大事な家族なんです」

 私は自分の足下にいたイリスを抱き上げる。イリスはイラリオさんの顔を見上げ、「みゃー」と鳴いた。うむ、普通の猫の振りがとっても板に付いている。

「もちろんだ。連れて行こう」

 イラリオさんはイリスを抱いた私の両脇に手を入れると、ひょいと抱き上げて馬車へと乗せる。

「俺は馬で移動するが、すぐ横にいるから何かあったら言うんだぞ」
「はーい」

 しっかりと頷くと、また大きな手でくしゃりと頭を撫でられた。