絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!

 そう待つこともなくチェキーナ大聖堂の司教をしているという男性が現れて、聖女光臨の儀の説明をしてくれた。イラリオさんに聞いた通り、基本的には祈りを捧げるだけのようだ。

「皆様は聖女候補ですから、高い神聖力を持っていることは間違いありません。ただ、これまでの記録では聖女が祈りを捧げたときは特に大きな祝福が得られると言われています」

 大きな祝福ってどんな祝福なのだろうと不思議に思ったけれど、司教によるとそれはその時々によって違ったのでなんとも言えないらしい。前回は大聖堂の周囲の花が一斉に咲き乱れ、前々回は七色に煌めく光が大聖堂を照らしたとか。そういえば、イラリオさんもそんなことを言っていた気が。

 そんな神秘的な場面に立ち会えるなんて、なんだかわくわくする。

 説明を終えた司教達が部屋を出て行く。すると、聖女候補達もひとり、またひとりと部屋を出て行った。
 私も部屋に戻ろうとしたとき、聖女候補のひとりから声をかけられた。

「こんにちは、わたくしはメアリ=クルトンよ。さっきは返事を殆ど返せなくてごめんなさい」

 振り返ると、先ほど「こんにちは」とだけ返してくれた令嬢のひとりがいた。黒色の髪に黒色の瞳、童顔の可愛らしい女性だ。