「彼女が亡くなったと聞いたとき、ショックのあまり一週間泣き暮らしました。でも、こんなことじゃだめだと気付いたの。わたくしが立派に聖女の勤めを果たすことが、彼女への一番の弔いだって。だから、あなたもお姉さんの分まで強く生きるのよ」

 わかった? わたくしとの約束よ? と続けて、ルイーナ様は言葉を閉じる。

 周囲からはルイーナ様の優しさへの感激と尊敬の念からか、すすり泣く声が聞こえてきた。

(??? これって、何の茶番劇なの?)

 あまりにも唖然としてしまって、言葉が出てこなかった。

 とても親しくしていた?
 どうこの国を守るべきかと一晩中語らいあった?

 一体どこの誰の話をしているのだろう。
 私は話しかけたら無視されて、それ以来一度もルイーナ様とは言葉を交わしていないのだけど?

「緊張して言葉も出てこないのね」 

 ルイーナ様はポケットからハンカチを取り出し目元を拭く真似をしてから、私の頭を軽く撫でる。 
 イラリオさんからよく頭を撫でられることはあるけれど、ルイーナ様にされるのはなぜかぞくっと不快感がした。