「世界樹はアメイリの森のとある場所にある。〝とある場所〟というのは、場所が決まっていないからだ」
「場所が決まっていない?」

 私とイラリオさんはほぼ同時に聞き返す。樹の場所が決まっていないって、どういうこと?

「世界樹はアメイリの森にある。しかし、辿り着けるのは世界樹自身が認めたもののみだ。そして、世界樹はそれを守護する役目を負った聖獣に守られている」
「ふうん……」

 つまり、世界樹が認めなければ何年探し続けてもその樹の元に辿り着くことはできないということだろうか。〝世界樹〟というのはこの世界の神聖力の源になるようなすごい樹で、そこには普通近づくことすらできないってことなんだね。

「でも、お薬を作るにはその世界樹の葉っぱを採って入れなければならないんだよね?」

 話の流れからすると絶対にそうだと思った。私がザグリーンに尋ねると、ザグリーンは首を横に振る。

[違う。葉ではなく実だ。世界樹そのものは先ほども言った通り滅多なことでは近づけない。しかし、世界樹の実であればリス型の聖獣が好んで食べることがある。その聖獣達が運んできたものが時々落ちている]

 なるほど! じゃあ、世界樹の実であれば見つけることができる可能性もあるってことだね。

「わかったわ。私、明日探しに行ってくる」