俺は事情を説明し、このアリシアに聖石に触れてもらった。そして、驚きに息を呑む。

 アリシアの指先が触れた瞬間に突如聖石から閃光が発せられ、その後七色に煌めく光により聖石に刻印された花が浮かび上がる。これまで一度たりとも反応を示さなかった聖石が見事に反応したのだ。

(聖女候補だ。こんなところに)

 これまでになかった反応に、俺は目を見開く。しかし、驚いたのは彼女も一緒だったようだ。

「えっ、何これ」

 アリシアはびっくりしたような表情を見せ、聖石に触れていた手をぱっと引く。その様子を見た俺ははっとした。すぐに彼女の前に跪く。

「あなたのことをずっと捜していた」

 戸惑うアリシアに有無を言わせる間もなく、にこりと笑いかける。
 そして半ば強引に、彼女を連れて王宮へととんぼ返りしたのだった。