■ 第5章 幼女薬師、特製絆創膏を開発する

■ 第1話

 この日もアルマ薬店でお手伝いをしていた私は、棚の整理をしていてふとひとつの瓶に目を留めた。

「カミラさん、このお薬なくなりそうになっていますよ。そろそろ作らないと」
「おや、本当だね」

 カウンターで届いたばかりの薬草を仕分けていたカミラさんがこちらを振り返る。

「これ、傷薬ですよね? 私が作りますから、カミラさんは仕分けの続きをしていてください」
「そうかい? 助かるよ」

 カミラさんはにこりと笑うと、作業中だった手をまた動かし始めた。

「はーい。任せてください!」

 私は大きな声で返事すると、なくなりそうになっていた瓶を棚から下ろして台の上に置いた。
 蓋を開けると、スッとした爽快な香りが鼻を抜ける。消毒成分を含む薬草の香りで、傷薬はこの香りがするものが多いのだ。

(それにしても、傷薬の消費が激しいなあ)

 アルマ薬店でお手伝いを始めてから特に驚いたのは、傷薬の消費の速さだ。
 私はこれまでも、元々王都であるチェキーナの町外れで薬師として細々と生計を立てていた。そのときによく売れるお薬と言えば『熱冷まし』『風邪薬』『お腹のお薬』などだった。