その後も次々と各地の状況が報告され、最後に俺の順番がやってくる。

「北部地区セローナですが、現在も捜索中です。引き続き発見できるように努力します」

 聖女光臨の儀では、この国の五つ地に居を構える大聖堂の大司教がそれぞれ神託を受ける。他の四地域では既に神託を受けた聖女候補を無事に発見して聖女光臨の儀に参加する同意を取り付けていたが、北部地域──セローナだけがまだ発見できていなかった。

「イラリオ、なぜそんなに時間がかかっている?」

 苛立ったように詰問してきたのは国王であるカスペル陛下だ。俺の年の離れた、腹違いの兄でもある。

「神託で得た名前の貴族を順番に回って聖石に触れてもらいましたが、今のところ反応する者がいません。今、平民まで捜索範囲を広げていますが、なにぶん対象が多く──」
「平民!」

 カスペル陛下が馬鹿にしたよう鼻で笑う。

「聖女が平民などあり得ない。お前ならよく知っているはずだ。聖女になり得るのは聖獣の血を引く我ら王家の血縁のみ」

 うるせえな、と心の中で舌打ちする。