私たちは今、爽と和奏が出てくるのを待っている。


映画が終わってお客さんが一斉に動いたので逸れてしまった。


ここにいれば絶対に通るはずだから見つけられる。


すると、私のスマホが震えた。


「爽から電話来たよ」


そう言いながら電話に出て、顔を上げる。


その瞬間。



時原の横顔が目に入った。


見惚れるくらい綺麗な横顔。


なのにその顔は、泣きそうなくらいすごく辛そうだった。


『結咲?今どこにいるの?

……──あ、いたっ!』


耳に入る爽の声。


私は、時原の視線の先を追った。