妹を溺愛する兄が先に結婚しました

────とまあ、そんな経緯がありまして。


この後、爽と見る予定の映画を4人で見ることになった。


「2人で遊んでたの?」


「いや、昼まではバスケ部の連中と遊んでた」


「そうなんだ。静也が休みの日に外出るの珍しいね」


和奏と爽の会話を聞いていると、ふと、爽の言葉に引っかかりを覚えた。


「和奏に無理やり連れ出された」


「そう。俺が無理やり連れ出した。

じゃないとこいつ、ずっと寝てるからな」


「ああ、やっぱり」


爽……、今、時原のこと“静也”って下の名前で呼んだよね?


彼氏の友達だから……、ってわけじゃないよね。


というか、なんだろう。

この3人の昔馴染み感。


「3人って仲良いの?」


「「え?」」


私が聞くと、3人が同時にこっちを見た。


「あれ、結咲に話さなかったっけ?私たち、同じ中学出身なんだよ」


「俺と爽は小学校からの幼なじみ。静也は中2の春に転校してきて仲良くなったんだ」


「静也、最初はクラスでもバスケ部でも浮いてて、私たちがしつこく話しかけたんだよね」


「そうそう!」


昔を懐かしむ和奏と爽。


そんな2人を時原が優しく見守る。