妹を溺愛する兄が先に結婚しました

***



日曜日。


私は爽を誘ってカフェに来ていた。


「この映画を見ようと思ってて」


「あ!これ、俺も見たかったやつ!」


向かいの席に爽。


どういうわけか、その隣に和奏がいて。


「…………」


そしてさらに……、

どういうわけか、私の隣に時原が座っている。


どうしてこんな状況になったんだっけ?



遡ること、十数分前────


「うわーんっ」


オシャレなカフェの窓際の席で、泣き崩れる私。


涙は出ないけど、心の中で涙を流している。


「結咲はこの際、イケメン兄に溺愛されていることを誇るべきだと思うよ」


そう言って爽はカフェオレを口に含んだ。


私は、注文した紅茶のカップを手で包み温かさを感じ取るも、“溺愛”って言葉に身震いがする。


「溺愛って言わないで。寒気がする」


「私はそんな結咲を見てるだけで楽しい」


「ドS」


「あははっ。……ん?」