妹を溺愛する兄が先に結婚しました

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雲の隙間から太陽が覗く。


冬休み中は天気が悪かったのに、学校が始まると一転。


毎日、太陽が顔を出す。


冬の体育の持久走を応援しているかのように。


「地獄……」


「ハァ……ハァ……。

結咲って……体力オバケ、だよねっ……」


隣で走る爽が息を切らしながら言う。


「え、なんで?」


「持久走嫌いって、いいながら……ハァ……全然疲れて、ないじゃん……。

やっぱ、先行って。

ハァハァ……私、ペース落とすっ」


「わかった」


体力があるのと好き嫌いは別だよな、なんて思いながらペースを上げる。


さっさと終わらせちゃおう。



「ゴール!」


持久走は嫌いだけど、順位をつけられるマラソン大会がないだけマシ。


持久走を終わらせて、座り込む。


地面の冷たさが、熱くなった私の身体を冷ましてくれる。


「さすが真崎先生の妹。優秀ね」


私のことなのにまるで兄へ向けられた言葉。