妹を溺愛する兄が先に結婚しました

……と。


「────っ!」


急に、時原がパチッと目を開けた。


咄嗟に手を離す。



「ふふっ。くすぐったい」



時原が、ふにゃっと笑った。



その瞬間。


バクンッと心臓が騒ぎ出す。


「ごめん」


時原から顔を背け、胸辺りの服を握る。



不覚にもときめいた。


意味わかんないほど心臓が音を立て、鼓動が私を(むしば)んでいく。


今のは反則。ずるいよ……。