妹を溺愛する兄が先に結婚しました

今日が結婚記念日ってことだよね?


兄らしくないけど、すっごいロマンチック!


そっか。

だから、今日は無理だって言ってたんだ。



だというのに、

どうして兄は不満そうな顔をしているのか。


すると、一瞬兄が驚いたように目を開いた。


何かと思えば、急にガシッとマフラーを掴まれて、



「これは誰の?」



と聞かれた。


これって……、しまった!


首のマフラーに視線を落として、それが自分のではなく時原から借りたものだと思い出した。


「俺のですけど」


「あっそう」


明らかに面白くなさそうな兄が、私の首に巻かれたマフラーを解いた。


冷たい風が首を撫でる。寒い。


そして、それを時原に返し、今度は自分の首に巻いていたマフラーを私にかけた。


「こっちにしな」


……っバカ兄!

ゆかなさんの前で、なにとんでもないことしてくれてんだ!