妹を溺愛する兄が先に結婚しました

退店して、来た道を戻る。


またイルミネーション通りを歩いていると、


「ねぇ、あれ」


ふと時原が呟いた。


「?……──げっ!」


指差した先にいた人物を見て、思わず時原の背中に隠れた。


「なんで隠れるの?」


「こんなところ見つかったらやばい。絶対誤解される……!」


「そうなの?……でも、先生も誰かと一緒だよ」


最初に見つけたのは、遠くからでもわかるオーラダダ漏れの兄だけ。


時原に言われてもう一度姿を確認すると、隣に女性を連れていた。


目を引く綺麗な容姿の……。


「ゆかなさんだ」


「誰?」


「お兄ちゃんの結婚相手」


「へぇ。

……あれ?あの人どこかで」


「早く行こっ」


時原の腕を引っ張って一刻も早く立ち去ろうとした。



けど。


「真崎……、無理みたい」


振り返ると、こちらを見る兄とばっちり目が合った。


……遅かったか。


ガックリと項垂れる。