妹を溺愛する兄が先に結婚しました

クルクルと巻かれていく漆黒のマフラー。


……え。



「これなら少しは温かい?」


「う、うん……」


私が頷くと、また歩き出した。



……え、ちょっと待って。

なに?わかんない、わかんない。


マフラーを貸してくれたのはわかるけど。


今の行動はなに?

これも天然なの?


一瞬だったけど、あまりの距離の近さにパニック。



……ていうか!

沈まれ、私の心臓!



急激に体温が上昇していくのを感じる。


柔軟剤っぽい時原の匂いが、今までにないほど私をドキドキさせていた。



***



近くのスポーツショップに入る。


クリスマスにわざわざ行くような場所じゃないんだけど。


「先輩に聞いたんだけどね。

バスケ部のクリプレは、リストバンドかタオルが相場なんだって。

誰に当たっても使えるでしょ?


それと、バスケ部っぽいストラップなんかもいいって」


「真崎は何にしたの?」


「私はリストバンド」


「じゃあ俺もそうしようかな」


入店して1分で決めてしまった。


即断即決というか、たぶん適当に決めてる。