妹を溺愛する兄が先に結婚しました

「え?」


「ていうか、一緒に来てくれないかな。選ぶの面倒くさいから真崎が選んで」


「いいけど……」


いいのか?

それってプレゼントの意味あるの?


……でも、まだ一緒にいたい気もするし。


私は時原についていくことにした。



イルミネーション通りを2人で歩く。


クリスマスに好きな人とイルミネーションを見るのが夢だった。


今、隣にいるのは彼氏でもなければ好きな人でもないけど。


それでも半分夢が叶った気分。



……それにしても、寒い。


辛うじてブレザーは着ていたけど、マフラー巻いてくるんだった。


腕を組んでなるべく縮こまって歩く。


すると、隣を歩いていた時原がいきなり足を止めた。

つられて、私も立ち止まる。


「寒い?」


「え……、いや、大丈夫」


咄嗟に組んでいた腕を離した。


気を使わせちゃったかな。


申し訳なく思って俯いた私は、時原が自分のマフラーを(ほど)いているのに気付かなかった。



「ちょっと、ごめんね」



その一言で顔を上げると、時原が私の首にマフラーを巻き始めた。