妹を溺愛する兄が先に結婚しました

……それより、どうしてだろう。


部屋の中は、話し声と笑い声と歌声でうるさいのに、時原の声が妙にはっきりと耳に届く。


淡々と喋っているのに。


「真崎も今日は1人なんだね」


「え?……あ、うん」


「楽しい?」


「うん、楽しいよ。

……なんでそんなこと聞くの?」


質問が面白くて笑う。


「んー、特に意味はない」


「なにそれ」



あー、わかった。

時原って、声が綺麗なんだ。


男子にしては高めの声。

優しくて柔らかい綺麗な声がよく通る。



時原は独特で読めないし、友達と呼べるほど仲良くないけど、一緒にいると落ち着く。


近くもなく遠くもない距離感。


それが心地いい。