妹を溺愛する兄が先に結婚しました

制服の上にボアブルゾンを羽織って、家を出た。


4人で車に乗って、揺られること──数十分間。

窓の外の景色が、街中に入ったのか賑やかになった。


すると、車が道路脇で停車。


「時原の家、この辺にあるの?」


「違うよ」


可笑しそうに笑みを見せた時原がシートベルトを外し、なぜか兄もシートベルトを外して車を降りた。


「結咲たちも降りて」


兄に言われて、意味がわからないまま私とゆかなさんも慌てて降りる。


「どうしたの?」


「ちょっとだけだからな」


歩き出した兄と時原について行く。



やがて、視界に飛び込んできたのは……。

穏やかな灯りが煌めくオレンジ色の世界。


左右に等間隔に並んだ木々がイルミネーションでライトアップされている。


「わあ、綺麗……!」


「すごい……!」


どこまでも続きそうなイルミネーションの道。


幻想的なその道を歩いていくと、開けた場所に巨大なクリスマスツリーがあった。


緑色のツリーが金色と赤色で飾りつけられていて、てっぺんには象徴とも言える大きな星が輝いている。


映画やテレビの中継で見るより実物は壮大かつ鮮やかで……美しい。


行き交う多くの人がツリーを見上げ、写真に収める人もいれば脳裏に焼きつけるように眺める人もいる。