妹を溺愛する兄が先に結婚しました

……でもね。


「お兄ちゃんの言う通り、この先、私は傷付くかもしれない。

……でも、傷付くのが怖いからって、目を背けたくない。


きっと傷付く前にたくさんの幸せがあるはずだから……。

たった1つの大きな傷から逃げるために、たくさんの幸せな思い出まで捨ててしまいたくない……っ」


そう思えるようになった。


だから私は、この傷と向き合える。



兄は、深く長い息を吐いて。


「傷付くくらいなら俺が傍にいればいい……、俺が先に幸せにしてあげればいい……そう思っていたんだけどな。

結咲も相変わらず頑固だな」


呆れたように囁いた。


「それはお互い様だよ……」


「そうだな。俺は結咲になんと言われようと、結咲への想いを変えるつもりはない」


やっぱり頑固じゃん、と思いながら涙を拭う私の頭に温もりが乗っかった。


小さい頃、怖くて眠れない私をあやしてくれたように……優しく頭を撫でる兄。


「だけど……。少しだけ、自分のことも考えてみるよ。ありがとな」


そう微笑んで、リビングを出ていった。