……ああ、そっか。

お兄ちゃんはずっと私の身体のことを心配してくれていたんだ。

私の心の傷を心配してくれていたんだ。



私のお父さんは、私が物心つく前から怖い人だった。


怒鳴るお父さんを何度も見てきた。

感情を爆発させるようにお母さんを殴る姿を見てきた。


震えるお母さんを何度も見てきた。

押し殺すように泣く姿を見てきた。


お母さんを守ろうとした私に、お父さんの怒りが飛んできた。


怖い。痛い。早く収まれ。

ただその感情だけに支配される日々。


消えない傷が身体に残った。


6歳まで……それが私の知っている家族だった。