突然現れた折部に真崎を連れ去られて。
追いかけようと足を踏み出した俺を、
「待て、静也。お前は先にあっちをどうにかした方がいい」
和奏が止めた。
あっちと言って顎で指す先に、手で顔を覆って忍ぶように泣く夏目。
声をかけて慰めている男バス連中を和奏が連れていってくれたので、2人きりになった。
「真崎に何を言ったの?」
静かにそう声をかけた。
「えっ」と驚いたように夏目が顔を上げる。
涙で頬が濡れていた。
……誰でも泣いている方が弱者だと思う。
それが後輩の夏目ならそうとしか見えない。
だけど、
「真崎は理由もなく人を傷つけたりしない」
真崎だって心の中でたくさん泣いている。傷ついている。
それでも他人を気遣える子だから、真崎が一方的に泣かせたとは思えない。
「……私は、何も」
ぎゅっと唇を噛んで視線を逸らしたその表情は、何かあったと言っているようなものだった。
問い質せば話してくれそうな気もするけど。
和奏の言った『先にあっちをどうにかした方がいい』は……、
そういう意味じゃないよね。
追いかけようと足を踏み出した俺を、
「待て、静也。お前は先にあっちをどうにかした方がいい」
和奏が止めた。
あっちと言って顎で指す先に、手で顔を覆って忍ぶように泣く夏目。
声をかけて慰めている男バス連中を和奏が連れていってくれたので、2人きりになった。
「真崎に何を言ったの?」
静かにそう声をかけた。
「えっ」と驚いたように夏目が顔を上げる。
涙で頬が濡れていた。
……誰でも泣いている方が弱者だと思う。
それが後輩の夏目ならそうとしか見えない。
だけど、
「真崎は理由もなく人を傷つけたりしない」
真崎だって心の中でたくさん泣いている。傷ついている。
それでも他人を気遣える子だから、真崎が一方的に泣かせたとは思えない。
「……私は、何も」
ぎゅっと唇を噛んで視線を逸らしたその表情は、何かあったと言っているようなものだった。
問い質せば話してくれそうな気もするけど。
和奏の言った『先にあっちをどうにかした方がいい』は……、
そういう意味じゃないよね。