妹を溺愛する兄が先に結婚しました

私が言い終わるよりも早く。

時原の腕が私の背中に回って、ぎゅっと包み込んでくれた。



満天の星空が広がっているのに、目には映ってなくて。

大好きな人の温もりを、全身で手繰り寄せていた。



想い続けたからといって叶うわけではない。


神様に祈って叶うものでもない。


曖昧で不確かだから恋は苦しい。



……でもね。


苦しい中にも、嬉しいことや楽しいこと、幸せなことがあった。


不確かな中でも、それだけは確実に存在していた。


その想い出たちが、私の未来を繋いでくれた。